第15章 100回目のプロポーズ
冷静になってみると、
いくらつきあってるとはいえ、
いくら合意の上?!とはいえ、
ちょっと強引だったか?
もしかしたら、さすがのアキも傷ついてるかも…
そう心配になって、顔を覗きこむ。
『アキ、ごめん。やりすぎた。』
アキは泣いてい……なかった。
それどころか、
内腿に流れた赤い筋を拭き取った
ティッシュを見ながら、
『ペリレンレッド…いや、紅の八塩?』
と、魔法のような言葉をつぶやいている。
『なんか言ったか?』
『え?あぁ、赤の種類。
せっかくだから、この時の赤が
どんな色だか覚えておこうかと思って。』
…さっきまでは、
ちょっと強引だった自分を
反省しようとおもっていたけど、
やめた。
アキにとっては、どんなことも、
絵につながれば、
意味のある経験みたいだから。
ま、
初体験を、
悔やんだり悲しんだりされるより、マシだな…
そして、思う。
俺も相当、
自分がバレー馬鹿だという自覚があるけど、
アキのこの情熱に比べたら、
まだまだなんじゃねーか?
俺はもっと、バレーを好きになれる。
アキは、俺にとって
彼女であると同時に、ライバルだ。
好きなものを追いかける気持ちに
正直で純粋でいるためのライバル。
彼女。ライバル。
どっちにしても、
手放せねぇ。