第15章 100回目のプロポーズ
結局、
ピザを食べるアキを見ながら
(俺は披露宴と二次会の後だから満腹だ!)
会わなかった数ヵ月の間のことを話し、
その後、
満腹感と、
…うぬぼれるなら…
久しぶりに俺に会えたことで
幸せに満ちた顔をしたアキを
やっと俺のモノに出来たのは
日付が変わってからだった。
裸で眠るのが気持ちいい季節。
なんどか果てた後、
酔いと疲れと達成感で、
俺はそのまま眠りに落ちた。
その時は多分、
アキを抱き締めてたはず。
…喉が渇いて目が覚めた時、
アキは、俺の腕の中ではなく、
窓際にいた。
アキが好きな、
"空が色を変える"時間。
髪を下ろし、
ゆるいTシャツ姿で
頬杖をついて外を眺めるアキの姿に、
見とれる。
この部屋に来て何時間かの間に見た
アキのいろんな表情。
…絵を描きながら振り返った、
キラキラした顔。
ケーキを見つけた時の
子供みたいな顔。
キスした時の、色っぽい顔。
ピザが来た時の、慌てた顔。
ピザを食べてる間のおいしそうな顔。
その後の…いやらしく乱れた顔。
そして、今、俺が眺めてる、
絵描きの顔。
…俺自身が
感情を表に出すのが苦手な分、
アキの
クルクルかわる表情を見ていると、
退屈しなくて。
ずっと、見ていたい。
『アキ。』
アキが振り返る。
ほら、
"絵描き"から"彼女"の顔になった。
『おはよ、トビオ!』
…くっそー、
俺の近くにいてほしい。
毎日、見ていたい。
『まだ、おはよーじゃねーし。こっち、来いよ。』
ベットに呼ぶ。
『トビオ…
もう、あと1日しか一緒にいられないね…
ギューってしてて。今日、1日、ずっと。』
…甘えるのも、上手になったな。