第15章 100回目のプロポーズ
今日と明日。
二人で過ごす、短い時間。
なかなか会えない分、
たっぷりと、
アキとの時間を満喫するつもりだ。
まずは、このまま、キッチンで…
うん、悪くない。
小さな流し台に腰を押し付けて
シャツをめくりあげ、
そのまま、ブラのホックをはずす。
『…あ…』
色っぽい声にあわせて
ゆるりとはずれたブラから、
パンッと弾けるように現れた胸。
これ。俺の。
下から抱えあげるように乳房をつかんだ時、
♪ピンポ~ン
…玄関のチャイムが鳴った。
『あ!』
…さっきの色っぼい声がウソのようだ…
『出るなよ。こんな時間に来るヤツ、
ろくな用じゃねーだろ?』
『違う、私が呼んだんだもん。』
『は?!誰だよ?』
『ピザ。』
『…え?』
『私、まだ晩御飯食べてないから。
トビオも一緒に食べよ。
奮発して、耳までチーズが入ってるやつだよ!』
♪ピンポ~ン
また、鳴る。
『はーい、ちょっと待って下さいねー。』
『お、おぃ!』
あわてて駆け出そうとするアキを引き留めて、
ブラのホックを留めてやる。
『そのまま行ったら、犯されっぞ!』
『ごめんごめん、えと、お財布…
あれ、メガネ、トビオ、メガネ、どこ?』
…バタバタしてる後ろ姿を見ながら、
俺は、自分の肩の力が抜けて、
苦笑いしているのがわかる。
アキといると、いつもそうだ。
思いもよらないことで、
感情が動く。
力が抜ける。
眉間のシワがフッと緩んで
呼吸がラクになる気がする。
一緒に、暮らせたら。
今はバレー1色の俺の生活に
きっと何か、
新しい"アキ"の色が加わるに違いない。
木兎さんも及川さんも、結婚して
その新しい"色"を手に入れたことで
ますます力をつけたんだと思う。
だから、
あいつが『うん』と言うまで、
俺は何回だって言う。
『アキ、そろそろ…結婚、すっか?』