第4章 夢の国ウェディング
その日、携帯は、鳴らなかった。
…だよな。
いきなりその日に電話するような
軽い子じゃねーよ。
次の日も。
…あいつ、ちゃんと渡してくれたのか?
その次の日も。
…これは、あれだな。
お互い、社交辞令だったってことで…
ノヤっさんには、
玉砕したらしいと隠さず報告した。
『そういう時は、
一人で落ち込んでちゃダメだ!
明日、うちに晩飯食いに来い、
なぐさめちゃる!!』
相変わらず、パワフルな返事。
うう、持つべきものは、やっぱり友だ…
なのに、
そんな日に限って、
あの会社に集荷の仕事が入った。
どんな顔して行きゃいいんだ?!
…とりあえず、
出来るだけそっとトラックを降りる。
できるだけ、
幼稚園の方を見ないように…
見ないように…
見ないように…ん?!
あいつが…手紙を託したあいつだ…
小さな手で俺を手招きしてるじゃねーか!
見えないふりをすることも出来る距離。
なのに、
吸い寄せられるように行ってしまう…
期待を捨てきれない俺。
『これ、アキ先生から。』
と、小さなメモを渡される。
息が止まりそうなくらい🚑
転がるように車に戻り、
震える手でメモを開いてみた。
黄色いクマのメモ用紙には
『仕事のご用じゃなくても
連絡していいですか?』
…ノヤっさ~~~~~~ん!