第15章 100回目のプロポーズ
…そこまで言ったくせに、
早瀬は早速、次の放課後の当番に来てねぇ。
たいした仕事じゃないから
待つより一人でやった方が早そうだけど、
それもなんだか癪に障るし。
『サボったら、あたし、
バレー部まで迎えに行くからね!』という
威勢のいい声を思い出す。
…おめーが来ねぇなら、
俺が迎えに行くからな…
美術部の部室まで、行ってみた。
いる。あの三つ編み。
一人で何か描いている。
『おい。』
…まったく、気付く気配がない。
『おい。お前、人にあんだけ言っといて
自分がサボるって、どーいうことだよ。』
…まったく、振り返らない。
『おい、早瀬、シカトすんな、ボケ!』
…まだ、振り向かない。
腹がたって、ズカズカ部室に乗り込んだ。
『おぃって…』
後ろからキャンバスを覗き込んで、驚く。
吹いてる風まで見えるような、緻密な絵。
これが、
あんなガサツ?!な女が描く絵?
ちょっとの間、思わず覗き込んでいたけど、
ふと、本来の目的を思い出す。
耳元で、低い声を出してやった。
『おい!今日の当番、サボりか?!』
『…うるさいなぁ。邪魔しないで…
ハッ?当番っっ???』
…振り向いた彼女のメガネの奥の瞳が
キラキラしてて、マジでびっくりした。
あ。
こいつ、本当に絵を描くのが好きなんだ。
多分、
俺が、バレーが好きなのと同じくらい。
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