第15章 100回目のプロポーズ
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出会いは、高校2年。
いつもながらの
テストの成績不振で先生に呼び出され、
ブルーな気持ちで出てきた
生徒指導室の前の廊下で、
いつもと違う違和感を感じた。
『…あれ?ここに窓、あったっけっか?』
…ちゃんと見ると、
それは窓ではなく、1枚の絵、だった。
美術なんかに
まったく、まったく、まったく、
まったく興味がない俺が
その絵に関心をもったのは、
そこに描かれていた風景が、
見覚えのあるものだったから。
…山の上から街を見下ろしたその景色は、
俺が毎日、
学校に来る時に見ているのと同じ…
だけど、朝ではなく夕方の風景だった。
…へぇ。
夕方は、こんな風に見えるんだ…
練習が終わって帰るときは真っ暗だから、
夕景を見た覚えは、ほとんどなかった。
気がつくと、
テストのことも、
先生に注意されてブルーになってたことも
忘れていた。
ふと、絵の下に添えてあったプレートを見る。
"高校文化祭 県知事賞 烏野高校2年
早瀬アキ"
…俺は、彼女の姿より、名前を先に知った…