第14章 祝福の拍手
披露宴も結びが近くなり、
新郎様からのご挨拶のお時間です。
始めは、
順調に感謝の言葉を述べていた
新郎様ですが、
途中で様々な思いが胸をよぎったのか、
一瞬、新郎様の言葉が潤みました。
『お、俺…今日までのことを考えると…
…出会ってきた……人…達…みんなに…』
すかさず、
会場から声が飛びます。
『山口、頑張れ~!』
『おい、泣くなよ~!』
『ここ、ビシッと決めろや~!』
…応援の声が却って胸に詰まったようで
言葉が続きません。
すると、ひときわ大きな声が。
『山口ぃ!声、ちっせーぞ!』
その声に、
ハッとしたように顔をあげた新郎様。
グッと奥歯を噛みしめ、
大きく深呼吸をした後、
しっかりと前を向き、
言葉を繋ぎ始めます。
『お父さん、お母さんが
大事に育ててこられたアキさんを、
チームのみんなの
大事なマネージャーのアキさんを、
…いろんな人に…
愛されてきたアキさんを、
これからは、俺が一番近くにいて、
幸せにするって、約束します。
俺がその約束をちゃんと果たせるように、
皆さん、これからの俺達を見てて下さい!
今日は、本当に本当に、
ありがとうございました!』