第14章 祝福の拍手
…ずーっと考えたけど、
気の利いた言葉は何一つ思い浮かばず、
あっというまに夕方。
とりあえず、仕事帰りにTATSUYAに寄った。
月曜日のお楽しみ、ジャンプを買いに。
そしたら、いたんだ、早瀬さん。
声をかけようかどうしようか…
俺が迷ってる間、
彼女はすごく熱心に雑誌を読んでる。
"あんなに夢中になるものって何だろ?"
そんな好奇心で、
さりげなく後ろを通りながら
開いたページを覗いてみると
女性用のヘアカタログ。
しかも、ショートヘアーのページ。
『ええっ!髪、切るつもりっ?』
…うわっ、思わず、
心の声が口から溢れてしまったよ…
ものすごくビックリした顔で
こっちに振り向いた早瀬さん。
『山口君?』
『す、すみません。
あの、今日、月曜日なので
ジャンプを買おうと思いまして…
そしたら、早瀬さんがいて、
びっくりしちゃってですね、』
『私も相当,びっくりしたよ?!』
『あ、ごめんなさい、あの…』
『なに?』
『あの、元気がないのとショートヘアーは
関係ありますか?』
『…』
『いえ、いや、あの、立ち入ったことを
聞いちゃってごめんなさい…あ、あの、
俺、ジャンプ買って帰りますから、
どうぞごゆっくり…』
『ね、山口君、車?』
『あ、はい。』
『今からドライブ連れてってくれないかな?
まっすぐ家に帰りたくない気分なんだよね…』
…頭がグルグルする…
ジャンプ買いに来たら
俺のスーパーアイドルと一緒に
ドライブのおまけ付き。
今日が月曜日で、ホントによかった!
ジャンプ、やっぱスゲー、最高!