第13章 嫁ぎの紅(べに)

…予想外の展開で、
何をどう考えればいいのか
わからないんだけど…

とりあえず、
今、私、プロボーズされてる。

思いもしなかったステキなプロポーズで
幸せ！と思う気持ち。

日向君の気持ちが嬉しい！
と思う気持ち。

たくさんの人が応援してくれる
日向君の人柄が大好き！と思う気持ち。

…それと同時に浮かぶのは、
母のことを思う気持ち。
私が結婚して東京に行ったら
母は一人になってしまう。

日向君。
おかーさん。
どっちも大事。

でも、
現実問題、
近くに住めない以上、
私はどちらの近くで生きていくかを
決めなければいけないわけで…

思わず、
母の方を振り向くと、

母は、ニヤリと笑った。

…この顔。
長年、一緒にいたからわかる。
おかーさん、
何か、たくらんでる時の顔だ…

『アキ。うちの家訓は？』

『…親か男を選ばなきゃいけない時は男を選ぶ…』

『はい、その通り。
おかーさんだって、
アキが、心置きなく翔ちゃんを選んでくれるように
ちゃんとそのための準備をしてきたんだから。
…そろそろかしら？』

はい？
これ以上のサプライズが？

次は、誰が何を？