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ウェディングプランナー(R18) Hi-Q

第13章 嫁ぎの紅(べに)




突然、電話がなってびっくりした。

おかーさん?

じゃなくて、日向君からだ…

『もしもし…』

『アキちゃん、大丈夫?
寂しくない?泣いてない?』

なんて絶妙なタイミング…

『べいぎ。だいでだいぼん。
(訳:平気。泣いてないもん。)』

『やっぱり…
もっと早く気付いてあげればよかった。
部屋、何号室?すぐ、行く。』

"ダメだよ、明日も大事な試合なんだから
しっかり休んで"
…と言ったつもりだったのに、

アレ?
なぜか、口が勝手に

『503号室』という音を出してます…

5分もしないうちに、
部屋をノックする音。

『アキちゃん、俺。』

ドアを開けると、息を切らした日向君。

『え?早っ!』

『ホテルの前から電話してた。
エレベーターがなかなかこないから、
階段、走って来た。』

『日向君…』

日向君が部屋に入ってくると、
さっきまでの寂しさが嘘のように
明るくあたたかく感じる。

『アキちゃん、今夜、俺をここに泊めて。』

『え?でも…寮は?』

『大丈夫。ちゃんと連絡してきた。』

『明日も大事な試合なのに…』

日向君が、ニッコリ笑う。
私の大好きな、
太陽みたいなキラキラした笑顔。

『泣いてる彼女を放っておくようじゃ
あの人たちとは戦えないよ。

俺の周りの強い人は、
みんな、優しいもん。

明日、俺が全力出すためにも
俺は今夜、アキちゃんと一緒にいる。
アキちゃんが元気で応援してくれれば、
明日の俺は、大丈夫!』

あぁ…
真っ直ぐの日向君の言葉。

おかーさんの力強い優しさとは違う、
柔らかくてふんわりした優しさ。


嬉しくて、どうしようもなくて。
日向君の首筋に抱きついた。

翼のような両腕が、私を包む。

意地っ張りな私も、
弱い私も、
同じように受け止めてくれる。

ありのままの自分でいられるって、
こんなに幸せなんだね。

…おかーさん。
おとーさんの腕の中にいる時は、
おかーさんも、こんな幸せな気持ちだった?



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