第13章 嫁ぎの紅(べに)
『木兎さん、結婚する前、
彼女とどうしてたんですか?』
『俺は堂々と行ってたぜ、飲みも遊びも。
ま、ゼブラは
バレー界のアイドルみてーなチームだから
俺らとはちょっと違うのかもしんねーけど。
でもさ、それって結局"彼女"だから
ファンの子も、まだ、夢見ちまうんだろ。
いっそのこと"奥さん"にしちまえよ。
そしたら当たり前に一緒にいられるぞ。』
『お、お、奥さん?
でも、まだ付き合い始めて何ヵ月かしか
たってないっす…』
『なぁ、チビちゃん。
この先、その彼女以外とも
恋愛するかもしんねーって思ってんの?』
『思わないっす。俺、アキちゃんがいい。』
『んじゃ、早いも遅いも関係ねーだろ。
どのみち一緒になるんだ。
迷ってる時間がもったいねーぞ。』
『け、結婚、を、か、考える、ってことですか?』
『おー、そーだよ!
夫婦になっちまえば、
スーパーで手ぇ繋いで一緒にネギ選んでても
誰にも文句言われねぇぞ。
そのくらい当たり前に一緒にいられるんだ。
いいだろ?ウラヤマシイだろ?!』
『…ネギ…』
『おい…大事なとこ、そこじゃねーからな?』
『は、はい…』
『よくきけ、チビちゃん。』
『はい?』
『出会ってからの時間の長さなんて、
カンケーねぇ。
好きなんだろ?大事なんだろ?
一緒にいたくてたまんねーんだろ?
じゃ、プロポーズしちまえ!
家族がいるって、楽しいぞ!』