第13章 嫁ぎの紅(べに)
体育館。
自販機前のベンチに、うなだれる日向。
通路の向こうからやってくるシルエットは
1人なのに、なぜか、
騒がしく賑やかなオーラをまとっている。
…そう、あの人。
『お、チビちゃん発見!
ヘイヘイヘ~イ、今日もゼブラの皆さん、
俺が絶好調にブチ抜いてやっからね!
…あれ?今日はなんだか元気なくね?』
『ぼ、ぼくとさぁん…』
『うわっ、露骨に弱ってるなぁ。
どーした?バレーの悩みか?女の悩みか?
俺に相談してみろ。
どっちにしても、たちまち解決してやっから!』
『…ホントですかぁ?…』
『お、ホントに悩んでんのか…
聞いてやるよ。どーした?』
『彼女が…ファンの子のことを気にして、
外で会うのはやめようって言うんです。
俺、全然かまわないのに。
たまにしか会えないんだから
人目なんか気にしないで
いっぱい遊びに行きたいのに…』
『おおっ、ついにチビちゃんも、
その苦しみを味わう日が来たか…』