第13章 嫁ぎの紅(べに)
『縁下君、駅まで一緒に帰らない?』
『お、早瀬!
俺も声かけようと思ってたとこ。
昨日のその後、知りたくてさ。』
今までは、職場の同僚とはいえ、
一緒に帰ったことなんか一度もなかった。
誰かと仲良くなると、
そこからまた、
新しく人の輪が広がる。
これってステキだな、って思う。
『昨日は、ありがとう。
あんまりにも大胆な展開で
かなりビックリだったけど…
結局、縁下君のおかげで、
日向君とつきあえることになった。』
『あのあと、どうした?』
『ご飯食べに行ってそのまま家に帰ったら、
おかーさんに怒られたよ…』
事の顛末のあらすじを話したら、
縁下君は大笑いした。
『ほんと、似た者家族で安心だな!
…で、あれは、役立った?』
『あれ?』
『日向に渡しておいたんだけど。
男のエチケット。』
…ゴムのこと、か…
『う、うん。役にたったよ。
いろいろお気遣い、ありがとう。』
『そっか、よかった、よかった!』
…だからぁ、
なんでそんなに、私と日向君を
後押しするんですか、って話ですよ…