第13章 嫁ぎの紅(べに)
二人で過ごす初めての夜が過ぎ、
二人で迎える初めての朝がきた。
母は絵美さんとこから
直接、仕事に行ったみたい。
私も仕事だから、
日向君を駅まで見送ってあげられない。
玄関先で離れるのがすごく辛くて…
『次、会えるの、いつだろうね?』
『毎日、連絡する。
1日でも休みがあったら俺もこっち来るから、
ちょっとでも会おう!』
『また試合も見に行くからね。
私も、毎日、連絡するし。』
『アキちゃん、
俺の彼女になってくれてありがとう。
俺、すっげー、頑張れそうだ。』
おでこに、キスをしてくれた。
でも、
そんなんじゃ、
足りないよ…
『日向君、会えない分、もっと。』
ほっぺにも。
唇にも。
首筋にも。
『う…これ以上やったら、
またアキちゃんを脱がせちゃうよ!
遅刻は、ダメだ。
次の楽しみに、とっておこう。ね?』
…こうして、
私達の遠距離恋愛が、始まった。