第13章 嫁ぎの紅(べに)
『な、日向。今、彼女、いんの?』
『いないです。』
『じゃあさ、早瀬と付き合うってのはどう?』
『えっ、いいんですか!?』
『早瀬、どうする?』
…ちょ、ちょ、ちょっと待って。
そういうことって、
もっと人目のないところで
密やかにする話じゃない?!…
家族みんなが固唾を飲んで
なりゆきを見守ってるという
この究極の緊張状態…
どう返事しろと?!
『アキ、質問されたらすぐ返事っ!』
おかーさんには関係ないし!と
言いたいのに言えない私…。
とりあえず、何か言わなくちゃ。
『ひ、日向君、あの、
先輩に言われたからって、
イヤなことは断ってもいいと思うよ?』
『イヤじゃないよ。イヤだったら
何度も試合に誘ったりしないし。』
『それは、うちのおかーさんが
強引に招待させてたんじゃ…』
『違うよ~。
俺が、律子さんとアキちゃんに
応援してもらいたかったからだよ。
俺、律子さんと友達だし、
アキちゃんのこと、好きだから。』
へ?
なんですと?
それって、
どんな意味の『好き』なんでしょーか?