第12章 1年後のガーデンパーティー
心から、
雪乃を大切にしたいと思った。
その気持ちが、あふれだす。
唇を重ねる。
キスは、今まで何度もしてきた。
でも、今日は、いつもより
ずっと柔らかく、温かく感じる。
唇が触れるたびに
いとおしい、という想いがつのり、
唇が離れるたびに
もっとほしい、という想いがつのる。
もっと。
もっと。
少しづつ、口の中まで。
いつものキスより、深く。
舌を入れる。
雪乃の舌と触れる。
挨拶するように、コツン、コツン、と。
それに応えるように、
今度はしっとりと。
気持ちを伝えるように、
歯列の裏側まで舐めると
同じように、応えてくれる。
チュルン、という音がして
こぼれてきた唾液を吸う。
『君のこと、全部受け止めるよ。』と
伝えたくて。
唇を離した時につながった銀色の糸は
運命の赤い糸と同じくらい
俺たちの心を繋いでくれた。
…キスだけで、
もう、一生分の愛の言葉を
交わしたような気分になる。
雪乃と目があう。
迷うことなく、
小さく"うん"と頷いてくれた。
その瞳には、もう、
怯えも恐怖もない。
俺には、雪乃からの信頼が。
雪乃には、俺からのいとおしさが。
心が、通じた。
…もう一歩、先へ。