第12章 1年後のガーデンパーティー
心の傷を
中側からきちんと治してあげたい。
そう思ったから、
それからもキスだけの関係でいた。
それでも、彼女…雪乃は
俺に甘えてくれるようになってきたし、
俺も、気遣うだけでなく
安心できる存在として
接することができるようになってきた。
二人で出掛けて、
手をつないで歩いて、
帰りは、家まで送って、
別れ際に小さくキスをする。
そんな日々を
どのくらい繰り返しただろう。
もう、
雪乃の涙を見ることは
なくなっていた。
笑顔を重ねて、
安心を重ねて、
信頼が厚くなり、
心が温かくなる。
…当たり前みたいなことだけど、
雪乃といると、
それがどんなに幸せなことなのかが
よくわかる。