第12章 1年後のガーデンパーティー
結婚式当日は、暖かくて風もなく、
まさにガーデンパーティー日和。
予定より少し早めに会場に着くと
雪乃さんは既に到着していて
居心地の悪そうな顔で
一人ポツンとロビーに立っていた。
『縁下さん!』
俺を見つけると、
まるで飼い主を見つけた子犬のように
駆け寄ってくる。
…あぁ、来てくれてて、よかった。
それだけでもホッとする。
今日一日、俺がしっかりリードしていけば
きっとなんとかなる。
スガさんのためはもちろん、
雪乃さんも、これ以上傷つくことなく
無事に1日を過ごしてもらいたい。
二人で受付の準備をしながら
さりげなく聞いてみた。
『ゆうべは眠れましたか?』
『はい。』
『気持ちは落ち着いてます?』
『人が多い所はこわいですけど…』
『こわい?』
『皆が、私のことを笑ってる気がして…
18で妊娠して中退した子だよ、って。』
『…そんなこと、誰も、』
『そうなんです、
誰も気にしてないってわかってるんです。
…例え言われたとしても、事実だし。』
『…雪乃さん…』
何か言おうと思った時、
ロビーに、賑やかな声が響きだした。
ゲストをのせたバスが到着したようだ。
受付が忙しくなり、
雪乃さんとの会話はそこまでだった。