第12章 1年後のガーデンパーティー
あのバレンタインの一件以来、
雪乃さんは落ち着いている。
…とは言っても、
あれからそんなに会ってないけど。
そしていよいよ明日が結婚式、という夜。
久しぶりに二人で会って最終打ち合わせをし、
帰りはいつも通り、俺が車で送った。
今でもまだ当たり前のように、
雪乃さんは、後部座席に座る。
『明日、晴れるといいですね。』
『そうですね…
二人は今ごろ、何をしてるのかな…』
雪乃さんがポツリと呟く。
バックミラーで見る限り、
その表情からは何も伝わってこない。
『雪乃さん…祝福しましょうね?』
『…はい。』
細い声も、うつむいた顔も、
いつもと変わらない…と思いたい。
『明日…迎えに来ましょうか?』
『いえ、大丈夫です。』
『ほんとに?無理してません?』
『大丈夫です、急に休んだりしませんから。』
…信じるしかない、よな。
俺が不安がってどうする?
スガさんのために、
明日は絶対、いい一日にする。