第12章 1年後のガーデンパーティー
ひたすらの沈黙…のあと、
雪乃さんがやっと口を開く。
『アキは…
私と同じで、1回離婚してるんだよ。
なのに、その後も彼がいて…
その彼と別れてからも、
すぐに、今度はコーシ君みたいな
ステキな人が現れて…』
…言いたいことは、たくさんあるけど。
今は、雪乃さんの心の中を
解毒してあげることが一番大事だから、
黙って聞く。
『世の中の男性は
悪い人ばっかりじゃないってわかってる。
でも…
私の周りにいる男の人で一番ステキなのは
コーシ君なんだもん。』
…まだ、解毒、真っ最中。
『アキだけじゃないよ。
なんでみんな、あんなに次々と
ピッタリの人、探せるのかな?
私なんか、彼氏どころか友達だって
あんまりいないのに。』
…薄まってきたけど、もう少し。
『アキが一人で幸せになっちゃったら、
また私、独りぼっちになっちゃう…』
…あと、ちょっと、かな。
『でも私、
アキのこともコーシ君のことも
どっちも大好きだから、
二人には幸せになってもらいたいし…』
…お、解毒、完了かな?
『アキ、コーシ君のこと、
勝手に好きになってごめんなさい…』
…うん、完了、だな。
そのまま静かに泣き始める。
ただいま、涙で心の消毒中…
泣き声がため息にかわるまで、
どれくらいかかっただろう。
時々通り過ぎるお客さんは、
別れ話でもしていると思うのか、
俺たちを遠巻きに見ながら
通りすぎていく。
…皆さん、
お心遣い、ありがとうございます。
でも俺たち、別れるどころか
つきあってもいないんですけどね…