第12章 1年後のガーデンパーティー
水族館は、思いのほか、すいていた。
どう見てもデートには見えない、
スーツにネクタイ姿の俺と、
泣き腫らした目でうつむいた雪乃さん。
ここにあまりにも似合わない二人だけど、
水族館の
薄暗さとざわめきの中に紛れると
なんとなくホッとする。
大水槽や熱帯魚などの人気のゾーンは
さっさと通りすぎ、
ようやく、
落ち着けそうなスペースを見つけた。
薄暗い水槽の中で、
名前も知らない魚がゆっくりと泳いでいる。
暗いうえに、ほとんど人もいない。
今の俺たちに
ぴったりの雰囲気じゃないかい?
『深海魚コーナー』だって。
…雪乃さんの気分も、
今、このくらいの暗さと沈み具合かも…
とにかく。
空いているベンチに腰かけた。