第12章 1年後のガーデンパーティー
俺はスマホを取り出すと、
デスクに電話をかけた。
『すみません、
急にお客さんから呼び出しがあったんで、
このまま直行してきます。』
電話を切ると
泣いている雪乃さんの手を引っ張って
大通りに出る。
…端からみたら、俺、誘拐犯みたいじゃね?…
とにかくタクシーを止め、
雪乃さんを押し込み、俺も乗った。
運転手が、
気にしてなそうな素振りで、
でもほんとはすっごく気にしてる顔で
バックミラーを覗きこみながら聞く。
『どちらまで?』
『あ…ええと…あ、そう、水族館まで。』
暗くて、
寒くなくて、
喋っても大丈夫そうな場所。
(ついでに、怪しいと思われない場所。)
…他に思い浮かばなかったから。
だから、水族館。
平日の昼。
会社をサボって。
泣いてる雪乃さんを連れて、
強引な…初デート…ではないけども。
はぁ…
これからどうなるのか、
俺には、想像もつかない…