第12章 1年後のガーデンパーティー
『アレ?雪乃ちゃんじゃない?』
…あぁ、スガさ~ん、
タイミング、最悪で~す…
俺は、
雪乃さんの手から
ピンクの紙袋を奪い取ると、
雪乃さんを背中で隠すように立ち、
大きな声で言った。
背中の向こうの
雪乃さんにも
聞こえるように。
『雪乃さんが、バレンタインだからって
俺にチョコレート届けてくれたんですよ。
いやー、義理チョコでも嬉しいっすね!
あ、スガさんの分は、ないですよ。
これは、俺のですから。』
スガさんは、ニコッと爽やかに笑った。
『そっか。雪乃ちゃん、優しいねぇ。
縁下、もしかして今日唯一のチョコじゃねーの?
大事に大事に、食えよ!』
そう言いながら、
ちょうど通りかかった同僚たちと一緒に
会社に入っていく。
…背中でも分かる。
雪乃さん、泣いてる。
だよな、泣くよな…
あれ、泣かせたの、俺か?