第11章 ガーデンパーティー
『あぁっ、そうだったぁ…』
玄関ドアの前で、
アキが絶望的な顔をして天を見上げる。
『どーした?』
『コーシ、あのね…
すっごーく、散らかってる。覚悟して。』
覚悟って(笑)どんだけだよ。
…と思ったけど、確かに家の中は、
今まで来た中で一番散らかっていた。
『半端ないでしょ、ホントにごめん。
最近、忙しくて、寝に帰るだけだったから…』
『俺は全然かまわないけど、
アキ、俺がいると気を遣うんじゃない?』
『気は遣いたくない。
でもそばにいてほしい。
どうしよう、このワガママな気持ち…』
もう。
本当に、大人カワイイ人だな。
『じゃ、そうしよ。
部屋はこのまま。俺もアキのそばにいる。』
『ごめんね、ありがとう。』
…そう言いながら、
慌てて洗濯物をたたもうとするアキの
手をつかんで、俺の腰にまわさせる。
『家に帰ってまで、頑張るの、禁止!
何にもしないでいいって。
俺はアキのことだけ見てるから
部屋は、見えないよ。』
ギュッと抱き締める。
ふわん、と、アキの体から
力が抜けるのが伝わってきた。
アキの首筋に顔を埋めると、
人肌のぬくもりとなじんだ香りで
俺の気持ちもほぐれる。
『久しぶりだな。』
『そうだね…』
『毎日、思い出してたけどね。』
『私も。』
『今、何がしたい?』
『…キス…』
久しぶりの唇。
…あ、俺、酒臭いかな?
そんなことはかまわず、
アキも舌を絡めてくる。
糸をひくほどのディープなキスの後、
アキがカラリと言った。
『あぁ、落ち着いた!
よしっ、シャワー、浴びてこよっと。』
『えぇっ?このまま脱がそうと思ってたけど?』
『それは残念!
私は帰ったら、まずシャワーでーす。』
『じゃ、一緒に行ってもいい?』
『ダメーっ。
仕事の後のシャワーはエッチなシャワーとは別物っ。』
…チェーッ。
久々の体を堪能したいと思ってたから
ちょっとガッカリ…
けど、
ここはホテルじゃなくて、アキの家だ。
彼女なりの、寛ぐルールがあるよな。
確かに、
風呂から上がってきた彼女は
社会人の顔を脱ぎ捨てたスッキリした顔をしている。
『コーシも、どうぞ。』