第11章 ガーデンパーティー
12月。
街がイルミネーションで輝き始める季節。
俺もアキも年末年始に向けて
何かと忙しくなり、
最近、あんまり会えていない。
…忘年会の帰り道、
たまたまあのビルの前を通った。
15階の窓に明かりがついている。
時計を見る。
…11時か。まだ仕事してるのかな…
顔だけでも見に行ってみよう。
エレベーターの扉が15階で開くと、
その前にちょうど、アキがいた。
『アキ?!』
『コーシ?!』
『どうしたの?こんな時間に。』
『忘年会の帰りでさ、
前を通ったらまだ明かりがついてたから
顔が見たくなって。』
『ちょうど、今、帰るところだったの。
うち、寄ってく?』
『いい?疲れてるんじゃない?』
『ちょっと疲れてるから、一緒にいてほしい、
…っていうのはダメかな?』
アキのこういうところが
ステキだな、と思う。
カラ元気でもなく、
取り繕うでもなく、
疲れてるから一緒にいたい、と
正直に言えるところ。
俺に
心を許してくれている証拠だと思うと、
すごく、嬉しい。
…華やかなイルミネーションとは
反対側に向かって歩く。
特別、じゃなくて
日常、に向かう道。
久しぶりの二人の時間。
静かな寒さの日でよかった。
何を話すというわけでもなく、
腕を組んで、ゆっくり歩く。
それだけで、
お互いのぬくもりが
心まで暖めてくれる。