第11章 ガーデンパーティー
昼間の、
及川たちとのことを話してみた。
『アキは、
"やりたいこと"と"やれること"って
考えたこと、ある?』
『あるある。』
すぐに言葉を繋いだ彼女。
『私、旅行が好きでね、
添乗員になりたいって思ってた頃があるの。』
『へぇ。初めて聞く話だね。』
『でも、
大学時代に旅行会社でアルバイトしてみて、
すぐあきらめた。』
『なんで?』
『仕事で行くと、人のお世話ばっかりで
ちっとも楽しめないってわかったから。
添乗員って、旅行が好きな人じゃなくて
人のお世話が好きな人がなる職業ね。』
『そうなんだ。』
『で、考えたの。
仕事と趣味の違いって何かな、って。
趣味は自分が楽しければそれでいいけど、
仕事って、お金もらってやるわけでしょ。
ってことは、
"お金を払ってもらう価値があるほど
誰かのために役立つ"ことをしなくっちゃ、って。』
『それが、料理だったんだ。』
『そう。私、本当のこというと、
自分のために料理しようとは
あんまり思わないのよね。
ほら、うちでは柿の種かじってれば
気がすむくらいだから(笑)
でも、私の持ってる能力の中で
人様のお役にたてるものといえば
料理だったってこと。
コーシのお友達の場合は、
それが、美容だったり
教えることだったりリハビリだったり、
バレーボールだったのよね、きっと。』