第11章 ガーデンパーティー
こうして、
最悪でスタートした1日は、
最高の形で終わろうとしている。
キッチンスタジオの玄関で靴を履く。
…ここに来たときとは、世界が変わったな。
見送る彼女が声をかけてくれた。
『菅原さん、また、ご飯食べに来て。
きっといつも、
コンビニの食事ばっかりなんでしょ?』
『ありがと。ね…』
『ん?』
『二人だけの時は、
名前で呼んでくれると嬉しいんだけど。』
『…コーシ?』
『うん、そうそう、それ!
その声で呼ばれるだけでまた抱きたくなるよ…』
『コーシ…』
『ご飯も体も、ごちそうさま、アキ』
二人で笑いながら、
まるで新婚夫婦のようにキスをして
俺はキッチンスタジオを後にした。
…ちょうどエレベーターを降りたところで
スマホがなる。
旭からだ。
『旭!ゆうべは遅くまで付き合わせて
ほんと、ごめんな。』
『全然いいよ。てか、スガ、大丈夫か?
ちょっと心配で電話してみた。』
『旭、俺、もう大丈夫だべっ!』
『なんだよ、えらい機嫌いいな。
新しい彼女でも出来たのかよ?』
『わかる?』
『え??冗談のつもりで言ったんだけど…
マジで?マジで新しい彼女?』
『うん。自分でも信じられないけどさ、
昨日の別れは、今日のためだったみたいだ。』
『…スガ、ホントに大丈夫か?
お前、ヤケクソでないかい?』
旭がそうやって心配してくれるのも
当たり前だろうな。
今朝までの俺とは、別人だ。