第11章 ガーデンパーティー
蛇口の水をとめ、抱き寄せる。
『一番おいしそうなものを食べてなかった。』
…唇をあわせる。味わうように。
『付き合おう、って言ったら、
軽い男だって思われちゃうかな?』
『ううん、
今、口説いてくれない方が傷つく、きっと。』
『このまま、抱きたいって言ったら?』
『ちゃんと最後まで、大事に食べてね、
…ってお願いする。』
出会って、まだ数時間。
それなのに、
なんだ、この安心感。
『…ここで、いい?』
『…うん。』
初めて交わる場所がキッチンって。
なんだか、
特別な恋が
始まる気がする。