第11章 ガーデンパーティー
おかしな偶然に
思わず、どちらからともなく笑ってしまった。
『仕事と私、どっちが大事?なんて
漫画みたいなこと言われまして。』
『私は
“結婚したら仕事は辞めてほしい”って
言われました。』
また、顔を見合わせて笑う。
『どっちか1つなんて、選べるわけ』
『ないですよね?!』
今度は、声をあげて笑う。
笑いながら、
彼女も涙ぐんでいた。
笑いすぎた涙なのか
それとも、
思い出して泣きたくなったのかはわからない。
でも、
今の気分を笑いあえる相手が
目の前にいることに救われているのは
きっと、俺と同じはずだ。
『あぁ、笑ったらモーレツにお腹すいてきた!
ずうずうしくてすみません、
おかわり、いただけますか?』
…結局、
ご飯と味噌汁を2杯づつおかわりし、
食べ終わった頃には、
お腹だけでなく心も満たされていた。
『ごちそうさまでした。あぁ、幸せだな!』
…え?
自分の口から
"幸せ"という言葉が出たことに自分で驚く。
つい数時間前までは、
人生最悪の気分だったのに。