第10章 公開プロポーズ
タクシーは、街に差しかかる。
『うわ…』
『すっげーな!』
…これ、なに?
町じゅうに、極彩色の灯りがあふれている。
『今日から、ランタンフェスタですわ。』
運転手さんが教えてくれた。
あぁ、キレイ。
…そう思った時。
『運転手さん、ここで降ります!』
急にそう言ってお金を支払い、
町の入り口でタクシーを降りると
光太郎が言った。
『走ろうぜ!』
え?
『歩こうぜ』じゃなくて、
『走ろうぜ』なの?
あたし、ブーツなんですけど~っ?!
…そんな私の戸惑いなどおかまいなしに、
光太郎は私の手をとって
ランタンに彩られた街を走り出す。
『ね、どこ行くの?』
『俺も初めてだから、
そんなこと、わかるわけねーじゃん。
行き先なんかどこでもいいんだよ、
とりあえず楽しそうな方に行ってみよーぜ!』
光のトンネル。
灯りのオブジェ。
川を流れる燈籠。
原色に輝く店の看板。
そのどれよりも輝いてるのは、
光太郎。
光太郎には、
光がよく似合う。
『お!アキ、見てみろよ!』