第10章 公開プロポーズ
ケーブルカーで下山して、タクシーを拾う。
『…もう、光太郎、びっくりするじゃん!
どうやって頼んだの?』
『別に。
アキがハート型のランプ探してる間に
そこら辺にいた人たちつかまえて
"今からプロポーズするから手伝って下さい"
…って頼んだだけ。
あんなにいっぱい参加してくれるとは
予想してなかったけど。』
『あんな大勢の前で、
もし私が断ってたらどーしたのよ?』
『そん時はそん時さ。
手伝ってくれた人たちも
"バッカなやつがいてさぁ"って
旅先での思い出が増えて、それでいーじゃん。』
『…ほんっと、
失敗した時のこととか考えないんだね?!』
『そんなもん、考える時間がもったいない!』
…光太郎。
本当に、出会ったときからいつも、
あなたといると
ドキドキしていられるよ。
『あ、そうだ、光太郎、
あのさ、今のうちに念のために確認しとくけど、』
『なに?』
『"お兄さんの分まで二回結婚出来る"
とかっていうの、ナシだからね?!』
『バッカだなぁ。』
光太郎がゲラゲラ笑う。
『賢太郎の分まで二回、じゃねーよ。
賢太郎の分まで、二倍、愛すんだよ!!』
…あぁ、心が"ほわっ"とする。
私の毎日に
光の眩しさと暖かさをくれる光太郎。
つないだ手に力を込めると、
ぎゅーっと握り返してくれた。