第10章 公開プロポーズ
当日、一人で現地入りした私。
ナビを頼りに、
試合会場の体育館まで行く道も、
知らない街をぶらぶら散歩しながらの移動は
それはそれで楽しくて…
よかった、試合開始には間に合った。
会場は超満員。
二階席の前の方にやっと自分の席を見つける。
今さらこんなこと言うのもアレだけど、
バレーボールって、人気あるんだね…
笛を合図に試合が始まる。
練習以外で
光太郎のプレーを見るのは
初めての私。
びっくりした。
バレーボールのスピード感や
音の迫力。
選手の動きの緻密さ。
そして、何よりも
光太郎の輝き。
観客席のお客さんも、敵味方関係なく、
光太郎のプレーを楽しんでいるのが
伝わってくる。
勝ち負けだけじゃない、
人を惹き付ける、光太郎のプレー。
『人の2倍、生きる。』と言っていた彼。
でも、誰も知らないところで、
2倍どころか3倍も4倍も
練習してるに違いない。
だからこその、あの自信。
だからこその、あの体力。
常に全力でいることを努力や苦労にせず、
楽しみや明るさに出来るところが
光太郎の才能の1つなんだろうな…
彼氏としてはもちろん、
一人のアスリートとしても
尊敬できる人だ。
…そんな気持ちで見つめていたら、
セットチェンジ中の光太郎と目があった。
ニカッと笑って
パチンとウィンクしてくる光太郎。
嬉しい。
これだけたくさんいる人の中で
私を見つけてくれたことが。
光太郎の周りにいる人は
きっとみんな、こうやって
光太郎の虜になっていく。
…私、光太郎の"特別"になりたい。
初めて、
はっきりと、
そう思った。