第10章 公開プロポーズ
『光太郎…』
『あ、俺に惚れ直したかい?
ん?抱いてやろーか??』
『…お兄さんは、そんなに軽薄な人だった?』
『アキのそういう減らず口なとこ、
クッソかわいいよな!』
『クソって言うなっ!』
…いつもの光太郎に戻ってる。
でも、私には充分、伝わった。
光太郎は毎日、
二人分の人生を、全力で生きてる。
お兄さんの分まで背負って。
光太郎が負けるということは
お兄さんが負けるということ。
光太郎がくじける、ということは
お兄さんがくじける、ということ。
光太郎が笑う、ということは
お兄さんが笑う、ということ。
だから光太郎は、いつも、
負けず嫌いでへこたれなくて
明るく前向きなんだね。
…先に亡くなってしまった大切な人。
あきらめることも
卑屈になることも
過去にすることもしないで、
自分の中に抱えて
生きていくことを決めた光太郎。
もう二度と会うことが出来ない人のために
生きていける光太郎の強さは、ホンモノだ。
私は、この人についていきたい、と
心から思った。