第10章 公開プロポーズ
だけど…
『結局、1度も目覚めないまま、
小6の冬になくなっちまった。』
葬儀会場で、光太郎はとても
複雑な気持ちだったそうだ。
『だってさ、俺と同じ顔が、
目の前で棺桶に入ってんだよ?
倒れる直前まで一緒に遊んでたのに。』
…俺が、半分、死んじゃった…
子供心に、そう思ったそうだ。
"人生、
これから楽しいことが
たくさんあったのにね"
そう言って泣き崩れる
両親の姿を忘れられなくて。
『そんでさ、
それからいろいろ考えて、
俺、決めたんだ。』
俺は、賢太郎の分まで、
2倍、人生を楽しむ。
明日が絶対来るとは限らないから
やりたいことは、すぐにやる。
俺のせいで、誰かを泣かせない。
一人でもたくさんの人に
俺と知り合ってよかったって思ってもらう。
『だって、俺と知り合ってよかったと
思ってもらえたらさ、
それは賢太郎と出会えてよかったって
思ってもらえたことにもなるだろ。
だって俺たち、同じ顔してんだもん。』