第10章 公開プロポーズ
二日後、光太郎が帰って来た。
いつもと変わらない、
弾けるような明るい声で電話がかかってくる。
『アキ、ただいま!
誕生日、ホントにごめんな。
今からどっか、飯食い行こうぜ。』
『どこでもいい?』
『いいよー。アキ、どこがいい?』
『じゃ、光太郎の部屋でゆっくりしたいな。』
『えー?そんなんでいいのか?』
『うん。
何か食べるもの買って行くから
光太郎とゆっくりしたい。』
…本当に、ゆっくり話したかったし、
ゆっくりさせてあげたかった。
『わかった。じゃ、食い物は頼むな。
でも、ケーキだけは俺に買わせて。
アキが喜びそうなの、見つけてるから。』
…今までは
光太郎のこんなところが
"遊び人"に思えてたけど、
赤葦君の話を聞いてからは
この気遣いこそが
"愛され人"の秘密なんだってわかるから、
光太郎のことを、
ますます、好きになる。