第10章 公開プロポーズ
そういえば私、光太郎のこと、
知らないことや気になることがたくさんある。
…光太郎のことを好きすぎて、
うざがられたらイヤだな、と思うと、
本人に直接きけないこともある。
『あかーし君、もひとつ聞いていい?』
『なんですか?』
『光太郎って…その…遊び人、なのかな?』
『どーしてそう思います?』
『…だってほら、誰にでも人懐こいしさ、
えぇと、イロイロ、
慣れてるっていうか、上手っていうか…』
『あー、なるほど。
イロイロと、上手なんですね(笑)』
『…(恥)…』
『俺、木兎さんってすげーなって思うこと、
結構あるんですけどね、その中の1つが、
つきあった女の子を最後まで泣かせない、
…ってことなんですよ。』
『どーいうこと?』
『木兎さん、人を泣かせたくないって。
だから、彼女とうまくいかなくなってきたら
なんとなく、自分がフラレるようにするんです。
女の子のプライドを傷つけないように。
だから、
別れた彼女たちも、木兎さんのこと悪くいう人、
ほとんどいないですよ。』
意外。
感情が最優先かと思ってた。
『それと、イロイロ上手って話ですけど、』
赤葦君が笑う。
『あの人の場合、
遊んでるっていうんじゃなくて、
好奇心旺盛だし研究熱心でしょ。
だから、まぁ、
いわゆるそっち方面のこととかも
あれこれやり過ぎて
振られたりもしてるみたいだし。』
なるほど。
『思考回路とか、行動とか、
規格外なとこ多いじゃないですか。
つきあいはじめの頃はみんな楽しいみたいだけど、
振り回されてるうちに、最後は辞退、みたいな。』
そうなの?
『だから、俺とかアキさんみたいに
木兎さんの世話を楽しめる人だったら、
逆に長続きするんでしょーね。
だってあの人、面倒くさいとこもあるけど、
見てて飽きないでしょ?』
…確かに、そう。
私、あんな人、初めて。
“見てて飽きない”って言葉、
ホントにピッタリだと思う。
『アキさんさえ疲れなければ、大丈夫ですよ。
むしろ、俺からも木兎さんをよろしくお願いします。
じゃないと、
ショボくれモードの木兎さんの世話をすんの、
俺だけになっちゃいますもん。』