第10章 公開プロポーズ
…そんなわけで、誕生日の今日、
私はなぜか、光太郎の幼馴染みで後輩の
赤葦君と食事に来ている。
『あかーし君には私の誕生日なんて関係ないのに、
光太郎の勝手でつきあわせちゃってごめんね。』
『かまいませんよ、俺も、予定ないですし。
木兎さんの世話係同士、たまには語り合うのも
いいじゃないですか。』
あかーし君とは、何度か会ったことある。
だから、光太郎のこと、
気兼ねなく話せるのがありがたい。
『光太郎のことだから、
初めての誕生日とか、さぞかし賑やかに
祝ってくれると思ってたんだけどなー。』
愚痴も、あかーし君になら話せる。
『ま、今年はしょうがないですよ。』
『そうなの?』
『あれ、理由、聞いてないんですか?』
『実家に帰る、って。』
『そうですか…
木兎さん、お兄さんに会いに行ったんですよ。』
え?
お兄さんって?
『光太郎って、一人っ子じゃないの?』
『中学にあがる前まで、
お兄さんがいたんです、双子の。
今年はそのお兄さんの13回忌なんですよ。』
…初めてきいた話だった。