第10章 公開プロポーズ
空が青い。
遠くに海が見える。
道の脇に、赤い花。
沿道の応援がよく聞こえる。
これまで、こんなに
周囲の風景が見えたことはなかった。
ランナーの年齢層も様々で
真剣に走る人もいれば
かぶりものやコスチュームで
アピール重視のエンジョイランナーもたくさん。
…みんな、お金払って走ってるんだよね、
あ、私もだけど。…
『お前、誰のために走ってんのよ。』
光太郎の言葉を思い出す。
誰のため?
小さい頃から、
いつも誰かにほめてもらいたくて走ってきた。
私自身は、走ることが好き?
…改めて考えたこともなかったけど、
でも、
今、知らない人の中で走ってみて
『負けたくない!』という思いに
火がついたのは間違いない。
そう、
負けたくない、誰にも。
自分が得意なことで、中途半端に負けたくない。
うん、
私は、
誰かのため、じゃなくて
自分が納得いくように走る。
私に出来る、全力で!