第10章 公開プロポーズ
放っておこう、と思ったのに。
私だって仮にもアスリート。
あそこまで言われたら
陸上部の意地を見せたくなるわけで、
ついつい、ランニングではなく
本気のダッシュで追いかけてしまう。
ハァ、ハァ、ハァ、ハァ…
『くっそー、いけると思ったのに…
残り50mでやられたなっ。』
『陸上一筋18年のプライド、
バレー部に、負けらんないでしょ…』
光太郎がニヤリと笑う。
『お、負けず嫌い!
いいねぇ、俺、そういうの、好きよ。
よし、約束通り俺がビールおごるから。
ええと…誰だっけ?』
『あ、あたし?早瀬。総務の早瀬アキ。』
『よし、アキ、今日の練習の後、駅前集合な!
うまいビール飲もうぜっ。じゃ、あとで!』
…いきなり、下の名前呼び捨て。
勝手に約束。
アッという間にいなくなる。
ホントに、なんてヤツ?!