第10章 公開プロポーズ
光太郎は、
Vリーグ ヨントリーシャイニングの選手。
私は同じ会社の陸上チームの
長距離ランナー。
最初の出会いから、強烈だった。
ロードワーク中の私に
追い付いてきたかと思うと
いきなり並んで走りながら話しかけてきたのだ。
『ね、ヨントリーの陸上部だよな?
グラウンドまで、
どっちが早いか競争しようぜ!』
『…あの、どちら様でしたっけ?』
『え~っ?俺のこと、知らない?
シャイニングの木兎光太郎。』
『すみません、私、バレー、興味なくて。
で、なんで陸上部とバレー部が競争?』
『相手がいた方が面白いじゃん。
バレー部のヤツラ、ロードワーク、
ちんたら走るからつまんねーんだよな。
陸上部に勝ったら、俺も威張れるし。
あ、相手にならないとか思ってる?
俺、体力あるからねー。
もしかしたら、陸上部に
スカウトされちゃったりして!
な、負けた方が、ビールおごりな。
よし、じゃ、スタートっ!』
勝手にしゃべり、
勝手に決めて、
勝手にスタートしていった…