第8章 小さな小さな披露宴
さすがに
喪服を汚しちゃいけないと思い、脱がせる。
…若干、手間取ったが、
全裸にした価値のある見事な身体だ。
そこから先はもう、俺も、
役割を忘れて本能の赴くままに…
正常位・座位・バック・横抱き…
自分でも驚くほど果てない。
だんだんと我を忘れていくのは
アキさんも同じようで、
どんな行為にも応えてくれる。
いよいよ、もう限界だ、という時、
彼の声が聴こえた気がした。
"アキ、ありがとう。幸せになれよ。"
…そうだった。
俺は今、"一静"じゃなくて"一成"だ。
これだけは、伝えなくては。
『アキ、出会ってくれてありがとう。
幸せだったよ、愛してる。』
彼女も、ハッとしたように息を詰め、
そしてはっきりと、言った。
『私こそ、あなたと出会えて幸せでした。
いっせいさん、愛してます。
たくさんの愛情、ありがとう。』
そのあとは、もう、言葉はいらない。
全身の力を使い果たす勢いで
激しくつながりあい、
二人とも、果てた。