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ウェディングプランナー(R18) Hi-Q

第8章 小さな小さな披露宴




病院に行けば
患者さんはたくさんいて、
毎日の仕事は山のようにある。

日々の暮らしに追われて
どのくらいたっただろうか。

季節が春から夏に変わったのを
実感したある日、
たまたま、飲み会の帰りに乗ったバスが
条善寺坂を通る線だった。


『酔いざましに、少し歩くか…』

自分にそう言い訳して、
途中でバスを降りる。


あの店は、閉じたのだろうか。
それとも、
彼女がひとりでやっているのか?


店の前にさしかかると、灯りがついている。
“あぁ、店は守ったんだな。よかった。“
そう思ったところに、
カラカラと引き戸が開いた。

『あら、松川先生?!』

『…こんばんわ…』

『その節は、本当にお世話になりました。
あの、もしよければ、
ちょっと寄っていかれません?
あの時送っていただいたお礼に、一杯だけでも。』

『でも、お客さんが…』

『ちょうど今、閉めようと思って
暖簾を下げに出て来てところなんですよ。』


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