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ウェディングプランナー(R18) Hi-Q

第27章 ウェディングプランナー



戸惑った顔をして
アキがこっちを見てる。

…アキ、お前、やっぱスゲーよ。

"自分で決められないことなら、人生の流れに従う"
って言った、あの小樽での夜。

あの時は、
遠距離恋愛の真っ只中で、
妊娠だって、
どのタイミングで授かるか分からず、

それでも
大好きな仕事も、大事な職場も、
いつでも辞める覚悟で、

全部、全力で。

そして結局、今、
結婚も、子供も、仕事の新しい環境まで
目の前にやってきた。

それはラッキーだから、じゃない。
彼女の覚悟と行動があったからこそ。

『黒尾さん、どう思います?』

『…何に迷うんだよ?』

『だって、子育てしながら仕事って…
私に出来るかな…』

『迷うポイント、そこじゃねーだろ?』

『どこ?』

『…やりたい?やりたくない?』

『…やりた、い。』

だろ?
それが、アキだろ?

結婚したからって、
子供がいるから、って
何も変わる必要、ねぇよ。

アキは

みんなの幸せを手伝うのが大好きで
みんなに愛される仕事をしてこそ

アキだろ?

『俺、さっき、言ったじゃん、
やりたいことやれ、って。
俺が一番近くで応援する、って。
子育てしながら働いてる女性、
世の中にどんだけいると思ってんだ。
アキに出来ねぇはず、ないから。』

『…でも、まだ、産んでもいないのに…』

『心配してもしょうがないことは心配しない、
って言いきってたのは どこの誰だっけ?
とりあえず、プリンヘッドのポジション、
予約しとけよ。
研磨、復帰の時期は 都合つけてくれんだろ?』

『…クロには、借りがあるから。
アキちゃんで返させてもらうよ。』

『借り?』

『プロポーズ、代行してもらった。』

…あぁ、"クロオネコ宅急便"の話か。

『じゃ、研磨、そーいうことで、
アキに結婚式を担当してほしい人は、
プリンヘッドに相談な!』

夜っ久んが続く。

『会場は、ぜひ、うちで!
…あ、でもここ、みんな既婚者か。』

誰からともなく笑いと拍手が湧いて
それが大きな波みたいな音になる。

『おめでとう!』『よかったじゃん!』

みんなの声に
アキが流した涙の美しさを
俺は、一生、忘れない。

彼女は、俺の妻で、
みんなの、ウェディングプランナー、だ。

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