第27章 ウェディングプランナー
…夜空に金色の風船が飛んでいく様子は、
本当に、天の川が出来たみたいにキレイだった。
まさか俺、自分が
風船見て感動する日が来るなんて
今の今まで思いもしなかった。
アキが言ってた通り、
結婚式には不思議な力がある。
そのあと、
大人も子供も全員で集合写真を撮り、
本当はもう、解散してもいいのに
みんな、久しぶりに会ったもんだから
なんとなく帰りたくない雰囲気で
その場で写真を撮ったり
しゃべったりしていたら
烏野の武田先生が
大きな声でアキに言った。
『しかし、ウェディングプランナーを
辞めてしまわれるの、残念ですねぇ。
ほら、僕たち夫婦は
早瀬さんにプランニングしてもらわなかったから、
いずれ我が子が結婚する時は
ぜひ早瀬さんに頼もう、って
楽しみにしてたんですけどねぇ。』
それを聞いて、集団がざわめきだす。
『え?早瀬さん、辞めんの?』
『産休じゃなくて退職?』
『なんで?辞めなくてもいいじゃん?』
苦笑いするアキの代わりに
夜っ久んが答えた。
『もともと、
この春から異動の辞令が出てたんだよな。
だから、会社に残っても
プランナーではいられないんだよ。』
『…そりゃ、会社員の定めだなぁ。』
『でも、もったいねぇじゃん!』
『みんなで、社長に直談判だっ!』
『そうだそうだ、社長室、
みんなで行けば怖くない!』
…血気盛んなヤツラが多いな(苦笑)
そりゃ、俺もそうしてやりてぇけど。
『ありがとうございます、
皆さんのお気持ち、ホント、嬉しいです。
先のことはまだわからないけど…
とりあえずまずは、育児休暇のつもりで。』
『…ねぇ、』
小さな声。
研磨、だ。
『育休って、いつまで?』
『いつ、っていうか…秋に産まれるから、
それから半年か1年?
でもそれを過ぎてからも、もう、
会社員には、ならないかな。』
『うち…プリンヘッド…
来年の事業計画のひとつとして
ブライダル事業、立ち上げようと思ってんだけど。
クロとアキちゃんのタイミングでいいから、
アドバイザーで、来ない?』
…研磨、マジか?!
俺が声にするより先に
みんながざわめく。
『早瀬ちゃん、やれよ!』
『ほら、やっぱ天職だって!』
『決まりだろ。決まり!』
『茜が結婚する時も頼むっす!』