第27章 ウェディングプランナー

『でも、早瀬は異動に…今、休みで…』

『春からバンケットに異動だろ？
んで、今、三連休中の明日から出勤だろ？』

『そうだよ、その通り。』

『それを言いに、こっちに来ててさ。
今日の昼、東京に戻ったとこ。』

…夏希が、俺からスマホを奪い、
スピーカートークに切り替えた。

『クロ？ちょっと、あたしも話に参加させて！』

『おぉ夏希、おめでとう！娘、名前は？』

『まりな。
もりすけが、バレーボールにちなんで
"タマコ"にしようっていうもんだから。
せめて"球"じゃなくて"毬"にしてよ、
ってことで、まりな。』

『いいなぁ、女の子。
内緒だけど、うちも今、３ヶ月だって！』

『…クロ、今、なんつった？
ホントに？早瀬、妊娠してんの？』

『三日前に、わかったばっか。
俺も女の子がいいなぁ🎵』

『…クロ、ごめん、話、整理していいか？
早瀬は妊娠３ヶ月で、クロが父親で、
それは、間違いとか勢いじゃなくて？』

『失礼なこと、言うなよ！
初詣で俺、お願いしたし。
女の子がほしい、って。
あ！10月中旬、ってことは、
あの初詣の夜に受精したかなっ？！』

事態がまだ理解できない俺にかわって
夏希が口を開く。

『クロ、いつからつきあってたの？』

『一年半前の夏。』

…くっそー、早瀬。
俺の前では
男なんかいない顔、しやがって。

は？！
大事なことを…

『クロ、早瀬、仕事は？！』

『そうそう、それだ。』

…クロはようやく本題について話し始めた。
早瀬が、仕事を辞めて九州に行くこと。
早くクロと暮らしたいから
結婚式はしないといっていること。

だけど、クロは早瀬に
ウェディングドレスを着せたいし、
披露宴は無理でも、
式くらいは挙げさせたいこと。
…ちなみに、
プロポーズも早瀬からしてきて
クロはまだ早瀬に何もしてやれてないこと。

『だからさ、
頼む、夜っ久ん。力、貸してくれよな。
アキにドレス着せて、
想い出作らせてやりてーんだ。』

…なんだか、まだ、信じられない俺。

『…クロ、マジで早瀬と結婚すんの？』

『もちろん。
…そういや、出逢わせてくれたの、
夜っ久んと研磨だな。ありがとう。』