第27章 ウェディングプランナー
『…クロ?ぉあー、久しぶり!』
夜、クロから電話があった。
考えてみたら、話すの、一年ぶりくらい?
本当に久しぶり。
『あ、そうだ、
報告しなくちゃなんねーことがあってさ…
え?なんでうちに子供が産まれたこと、
もう知ってんの?
しかも女の子、ってことまで…
風の噂?そんな噂、どこでたってんだよ?』
相変わらず、飄々としてる。
『えーっ?九州?!いつから?1年前?』
…夏希が、こっちを睨んでる。
やっと娘が寝付いたところだから
静かにしろ、ってことらしい。
あわてて声を小さくする。
『ごめん、え?転勤したなんて
全然知らなかったじゃん!言えよ~。』
これだけでも相当びっくりしたというのに、
クロはさらに、言葉を続けた。
『なぁ、夜っ久ん、
実は、折り入って頼みがあって
この電話してんだけど。』
『…クロから頼み事なんて、珍しいじゃん。
俺で役に立つこと?』
『夜っ久んにしか頼めねぇこと。』
『なに?』
『あのさ、俺、結婚しよーと思って。』
『マジ?おめでとう!』
『そんでさ、前、約束したの、覚えてっかな?』
『…あ、アレだろ?
世界一キレイにしてやって
サプライズもいっぱいして
泣かせる系、ってやつ?』
『そうそう。』
『いいよ!予定、いつ?
…あぁ、でも、イチオシプランナーが
春から異動でさぁ。』
『そうそう、その彼女なんだよ。』
『…なにが?』
『俺が結婚すんの。』
『…』
『早瀬 アキちゃんが
黒尾 アキちゃんになんのさ。』
…
…
…
『えーーーーーーっっっっっ?!?!』
ウギャーっっ
『もりすけ、うるさい!せっかく寝たのに
まぁちゃんが起きた!ばかっ!』
枕が飛んで来る。
『だ、だ、だ、だって、
夏希だって、ビビビビ、ビビるだろ?』
『なにがっ?!』
『クロ、結婚すんだって。』
『いいじゃん。そりゃ、モテ男だもん、
その気になりゃ、スグ結婚できるでしょ。』
『違うんだって、それが、早瀬とだって。』
『どこの早瀬?』
『早瀬だよ、早瀬 アキ!!』
…
…
『えーーーーーーっっっっっ?』
ウギャーっっ…
『夏希、まぁちゃんが…』
『あ、ごめんごめん…』