第27章 ウェディングプランナー
頭の中が整理できず、
言葉をうまく繋げない俺にかわって
勝手に夏希が話をすすめてる。
『とりあえず、了解ってことで
なんか浮かんだら、連絡するね。
クロの希望はあるの?
…なるほど。うん。任せて。
クロにも早瀬ちゃんにも
お世話になりっぱなしだからさ、
今度は私たちから恩返し、させて!
うん、わかった。はーい、じゃあね。』
…夏希が通話を終了させ、
目を覚ましてしまったまりなを抱っこし、
寝かせつけながら言った。
『良かったね。お似合いの二人じゃん。』
『えーっ?似合うか?!』
『似合うって!
クロは私達の前では
しっかりしてたい人だからさ。
早瀬ちゃんみたいな人の前だと
きっと気持ちがラクなんだよ。』
『よくわかんねーけど。』
『でも、クロが幸せそうだったのは
もりすけも認めるよね?』
『…うん。びっくりした。
クロのあんな明るい声、聞いたことねぇや。』
『じゃ、いいじゃん。
私たちにわからなくたって、クロが幸せなら。』
そうだよな。
クロが嬉しそうで。
その相手が、信頼できる早瀬なら
もう、俺たちが心配することねぇな。
だって、とにかくしっかり者の二人だから。
しっかり者同士、
外では気持ちを緩められないことも
きっとあるんだと思う。
弱かったり迷ったり、そうやって
自分らしくいられる場所が、家族。
クロと早瀬。
どっちも、俺にとって大事な人だ。
『そうだな…夏希も、知恵、貸してくれよ。』
『もちろん!』
…その日、久しぶりに
娘の話以外のことで
夏希との会話が盛り上がった。
なんか、高校時代、
友達の恋の相談に
のってるみたいで。
人のことなのに、
嬉しくて、楽しくて。
そう、これこれ。
結婚式のいいところ。
人の幸せを見てると、
こっちまで、幸せな気持ちになる。
自分達が結婚したときの
あの気持ちを思い出す。
まりなが産まれて
慣れない育児で疲れてる夏希に
俺、優しくしてやれてたっけ?
いつかクロに言われた。
『跳ね返すな、受け止めろ。』
頑張れ、じゃなくて。
どうだった?じゃなくて。
頼んだ、じゃなくて。
ありがとう、って。
どうしたい?って。
俺が出来ることは?って。
明日は夏希に、そう言おう。