第27章 ウェディングプランナー
歩いてすぐの
俺の行きつけのラーメン屋で
二人でラーメンと餃子のお祝い。
…相変わらず、欲のない彼女で。
もうちっと、アキのために
なんかしてやりてーんだけどな…
『で?結婚式、どうする?』
『え?』
『やっとアキが、
憧れの"お嫁さん"になる番だろ?
プランナー人生の集大成になるように
好きにプランニングしろよ。
アキの希望なら、
俺、何でも着るし、何でもやるよ。』
『…ん…しなくて、いいかな、って。』
『…え?なんで?』
『やるとしたら、私の職場がいいんですけど、』
『そりゃ、そうだろ?』
『私、早く、黒尾さんと暮らしたいんです。
1日も早く、九州に来たい。
だから、準備とか考えたら、もういいかな、って。
…どうせ、プランナーでもなくなるし。
今さら、お嫁さんの気持ち、分かってもね…』
ラーメン食いながらする話じゃ
ないような気もするけど(笑)
『アキのご両親が残念がるだろ?』
『…それは…もし黒尾さんがよければ、
親戚集めて、
地元で食事会だけしてもいいですか?
子供が産まれてからでもいいです。
…あ、もちろん、
黒尾さんのご両親とご親戚も、東京で。』
『俺もうちも、それでかまわねぇけど…
アキは、それでいいのかよ?』
『はい。
もう、ドレスに憧れる歳でもないし、
いっぱい、見てきたから充分。
…それに私、髪も短いし貧乳だし、
ウェディングドレスっていう
キャラじゃないですよね、そもそも。
自分でわかってますから。
どっちかっていったら、タキシード?
…にしちゃ、チビだしなぁ。
だいたい私、
結婚式に招待するほど親しい友達もいないし。』
アハハ、と笑って
ズルル、とラーメンをすするアキ。
ばぁか。
お前、自分で言ってたじゃねーか。
どんな女性も
結婚式の日が近づくにつれて
不思議な輝きが増すんだ、って。
当日の"花嫁の輝き"は、魔法だ、って。
それを、
誰より近くで
誰よりたくさん見守ってきたお前が、
輝かないはず、ねーだろ?
そんで、
アキの輝きを、
誰より、俺が見てぇんだよ。
だってアキは、俺の"光"だから。
アキをもっともっと輝かせるのが
俺の役割で
アキの夢を叶えるのが
俺の夢なんだぜ?