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ウェディングプランナー(R18) Hi-Q

第27章 ウェディングプランナー



『夜久君に、言われたんです。
私も、仕事以外の人生の道、
本当に必要ないのか、
ちゃんと考えてみろ、って。』

…夜っ久んは、
俺達のつきあいを知らない。
だから、
一般論として言ったんだろうけど。

『結婚しても、
すぐ授かるとは限らないし、
簡単に産めるわけでもないよ、って。
何かを手離さないと
手に入れられないものがある、って。』

『へぇ。』

『私、考えたんです。
今は仕事したくて、私のワガママで
遠距離させてもらってるけど…
今しかできないことは、
仕事だけなのかな、って。』

…ぽつり、ぽつりと。

『今、この仕事を夢中でやっても
違う部署に異動になったら、全部、
ゼロに戻ってしまうかもしれない。

子供、産みたいと思ったとしても
すぐに出来る訳じゃないかもしれない。

黒尾さんも、いつ東京に戻るか
確実に決まってる訳じゃないし、』

うん。そうだな。
どれも確かに、そうだ。

『だから、
一つづつちゃんと、っていうのは
すごく無駄のあることなのかも、って。』

『無駄?』

『はい。
仕事、一生懸命やっても
プランナーで居続けられるとは限らない。

黒尾さんが東京に戻ったら結婚しよう、
って思ってても、
もしかしたら10年後かもしれない。

子供が欲しい、と思ったときは
もう、年齢的に厳しいかもしれない。

仕事も結婚も出産も
全部、やりたいことなんだけど、
一つづつの区切りを順番に待ってたら、
失うものもあるかもな、って。』

『…それは、無駄なのかな?』

『言葉は厳しいけど、
多分、突き詰めれば
そういうことになると思います。』

『…俺に出来ることは、ある?』



沈黙。

この次の言葉が、
アキの一番言いたいことなんだと
わかる。

だから、
待った。

アキの決めたことを、
全部、
ちゃんと、
受け止められるように。

信じてるから。

信じてくれてる、って
信じてるから。

だから、
待つ。


長いのか短いのかわからない
沈黙の後、

アキは、
顔をあげて、言った。

『黒尾さん、』


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