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ウェディングプランナー(R18) Hi-Q

第27章 ウェディングプランナー



泣きながら、部屋に上がって

…泣いてても
ビールはすぐに冷蔵庫に入れる。
ついでに、濡らしたタオルも
一緒に冷やしておく。…

泣きながら、コートを脱いだ。
こういうときは、お風呂。

涙で終わった恋愛経験、豊富ですから。
このまま泣いてると
顔がガビガビになること、知ってます…

今日は、お湯がもったいない、とか
そういうの、ナシ。
さっさと化粧をおとし、
頭から熱いシャワーを浴びながら

声をあげて泣いた。

シャワーの音が
泣き声を消してくれるから
遠慮なく泣ける。

…別に、誰に遠慮する必要もないのだけれど。

シャワーで顔を洗いながら泣けるから
どんなに涙や鼻水が出ても
無様な顔にならない。

…別に、誰に遠慮する必要もないのだけれど。

眉間と頬が痛くなるまで、泣く。

泣き疲れたら湯船に浸かって。
今度は、ハラハラと泣く。

あったかい湯気とお湯で
涙を洗い流しながら。

泣きながら、
段々、冷静になる。

もう、そろそろ泣き止もう。

明日は、仕事だ。

泣き腫らした顔で
出勤するわけにはいかない。

私のプライベートは
お客様には関係ない。
いつも、
晴れやかな笑顔でお迎えしないと。

『はぁ。』

大きく深呼吸して
ほっぺたをパチンパチンと叩き、
ザバン、と湯船から立ち上がる。

泣くのは、おしまい。
全部、自分で決めたこと。

いつもより丁寧にボディクリームを塗って
ちゃんとスキンケアもして。

…黒尾さんがいなくても、
"女"であることを怠らないように…

着替えてから、まず
ソファにひっくり返って
冷蔵庫のタオルでまぶたを冷やす。

つぶった目の前は、闇。
だけど、
タオルのひんやりとした感覚が
頭のなかをクリアにしていく。

黒尾さん。

今、どのへんだろ。
新幹線の五時間の道のり、
何して過ごしてるのかな。

今夜は一人で何を食べるの?
その前に、
家はもう、生活できる状態なのかな…

全部、最初から一人でやるんだね。
慣れない土地で疲れて帰っても、
なにもかも一人で。

大変、だよね。

…やっぱり、ついていくべきだっただろうか。

困ってる時や淋しいときに
…黒尾さんは、案外、淋しがり…
近くに優しい人がいたら、
その人に心を寄せてもしょうがないのかも。

仕事を選んでしまった私に
それを責めることは出来ない。


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